ワクチンとはなんですか?
ワクチンは、感染症を引き起こすウイルスや細菌などの病原体から作られた医薬品です。病原体の感染力を弱めた(弱毒化した)ものや病原体の一部分を使って、ワクチンは作られています。
ワクチンを体の中に接種することによって、感染症の原因になるウイルスや細菌などに対する免疫をつけることができます。
免疫がついていると、実際に感染症に感染する可能性を減らしたり、感染してしまった場合であっても軽症化することができます。
ワクチンの歴史について教えてください
重症化や死亡する確率が高い感染症や、後遺症が多く残る感染症について、ワクチンが開発されています。
たとえば、風しんウイルスは、熱と発疹程度の軽い症状を引き起こします。
しかし、風しんウイルスに対して免疫を持たない妊娠初期の女性が感染すると、先天性風疹症候群と呼ばれる障害を持つ新生児が生まれる確率が高くなります。
アメリカでは1964年~1965年に風しんの大流行が起こり、1000万人以上が感染しました。その後風しんワクチンが開発され、接種が進められた結果、2015年にアメリカ大陸から風しんが排除されました。
このように、ワクチンは感染症の予防だけでなく、感染症を排除することもできる場合があります。
日本ワクチン学会編, ワクチン-基礎から臨床まで- 第2版, 第Ⅲ部. P139, 朝倉書店, 2018年.
ワクチンにはどんな種類がありますか?
ワクチンの作り方は何種類かあり、それぞれの病気に適した方法で作られています。
神谷 茂監修, 標準微生物学 第14版, P.582-595, 医学書院, 2021年.
日本ワクチン学会編, ワクチン-基礎から臨床まで- 第2版, 第Ⅰ部. P23, 朝倉書店, 2018年.を参考に作表
厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A(https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0018.html)
ワクチンにはどんな効果がありますか?
ワクチンによって病原体に対する免疫がつくと、その病原体に感染する確率を下げることができます(感染予防)。
また、感染した際に症状が出る確率を下げる効果(発症予防)、症状が重症化することを防ぐ効果(重症化予防)もあります。
さらに、多くの人がワクチン接種を受けることによって、周りの人たちを感染症から守ることにつながります(集団免疫)。
厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A(https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/effect/)
ワクチンの副反応について教えてください
ワクチンを接種して体に免疫をつけるためには、体の中で免疫応答を起こす必要があります。
体の防御機構である免疫応答を起こすと、炎症などの副反応が起こります。
炎症に関連する症状が軽い副反応として挙げられます。
・接種部位の腫れ
・発熱
・全身のだるさ(けん怠感)
・筋肉痛
・頭痛 等
また、まれにみられる重い副反応もあります。
・熱性けいれん
・アナフィラキシーショック
・血小板減少
・急性散在性脳脊髄炎 等
日本ワクチン学会編, ワクチン-基礎から臨床まで- 第2版, 第Ⅰ部. P40, 朝倉書店, 2018年.
ワクチンによる感染症の予防効果と副反応のリスクのバランスを考えて、ワクチンを接種するかどうかを考える必要があります。
ワクチンを接種したほうがいいのはどんな人ですか?
その感染症に罹患しやすい(感染リスクの高い)方や、万一感染した場合に重症化しやすい方に積極的に接種することが推奨されています。感染症によってリスクの高い条件は様々ですが、一定の条件に当てはまる方が感染症に感染した場合、重症化する危険性が高くなります。重症化の可能性を減らすためにも、リスクの高い条件に当てはまる方にはワクチン接種が推奨されます。
新型コロナウイルスワクチンの場合、重症化しやすい高齢者、基礎疾患のある方または肥満の方は積極的に接種を勧められています。
また、妊娠中、授乳中、妊娠を計画中の方についても、新型コロナウイルスワクチンによる悪影響は報告されていないため、接種が推奨されています。
厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A (https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0027.html)